公園文化を語るみどり花コラム公園の達人公園管理運営「チャレンジ!」しました生きもの小話公園の本棚

花みどりミニ検定第171回 (2024/02/01~2024/02/29)

前回の解答と解説

第1問

問題
この植物は、キク科の多年草です。日本原産種のほかに、ヨーロッパ原産種が帰化植物として分布を広げています。
この植物は何でしょうか?
  • 1タンポポ
  • 2ミミナグサ
  • 3ノボロギク
  • 4ギシギシ
問題画像1
正解1タンポポ
解説
タンポポはキク科の多年草で、日本にはエゾタンポポ、カンサイタンポポ、カントウタンポポ、シロバナタンポポなど約20種が自生しています。写真はエゾタンポポです。また、ヨーロッパ原産のセイヨウタンポポやアカミタンポポが帰化植物として分布を広げています。大部分の種類は花が黄色ですが、シロバナタンポポはその名のとおり白い花を咲かせます。
在来種か帰化種かは、花を包んでいる総苞片が反り返るか反り返らないかによって区別できますが、両者の雑種も生じていて、見分けがつきにくい個体も出てきています。
花後、長い冠毛柄と冠毛をもったパラシュート形の果実が集まってボール状となり、風とともにあたり一面に飛び散ります。食用として根はキンピラやコーヒーの代用品、花は酢の物や揚げ物、若い葉はサラダや和え物などにも利用されます。フランスには野菜用に改良されたセイヨウタンポポの品種があり、サラダなどに利用されています。

第2問

問題
この植物は日本全国で見られる植物ですが、江戸後期から大正にかけて、多い時は約150品種ほどの珍品種が発見されました。しかし、昭和10年代には、そのほとんどが絶滅したとされています。
この植物は何でしょうか?
  • 1タンポポ(蒲公英)
  • 2キボウシ(擬宝珠)
  • 3ミスミソウ(三角草)
  • 4フクジュソウ(福寿草)
正解1タンポポ(蒲公英)
解説
タンポポは現在、日本に約20種が自生します。観賞用品種は、本州北部、北海道に分布するエゾタンポポの野生種から選択されたものと考えられています。
珍品種は鉢に上げて献上品としたり、床の間に飾り珍重されました。ほぼすべてが絶滅した理由は、鉢栽培がきわめて難しかったためと伝えられています。
問題にある図版は、『本草図譜』(岩崎灌園、1828年)の中の「ふきづめ」「黒花の物」です。

第3問

問題
道ばたによく見られる植物で、秋になると黒紫色の花穂をつけます。丈夫な葉の途中には、横しわができ、そのしわの数でその年に襲来する台風の数を占ったそうです。
この植物は何でしょうか?
  • 1カゼクサ
  • 2ハマウツボ
  • 3チカラシバ
  • 4コマツナギ
問題画像1問題画像2
正解3チカラシバ
解説
チカラシバはイネ科の多年草で、里地の道ばたに普通に生えています。
葉が丈夫なことからチカラシバといい、小道に生えるこの葉をしばり合い、子供たちは足を引っかけ合って遊びました。秋も深まると特異な花穂を伸ばします。花穂を摘んでズボンに入れると歩くたびに穂がズボンの中を上がる遊びもあり、くすぐったくなります。葉には横しわ(節)ができ、その節の数でその年に来る台風の数を、また節の位置から台風の来る時期を占ったことから、シケグサと方言で呼ばれています。この節はススキ、オギ、カゼクサ、ツルヨシ、ヨシ、エノコログサ類、ネズミノオなどイネ科に広く見られますが、台風占いはもっぱらチカラシバだったようです。

第4問

問題
中国原産の樹木で、中国ではこの新芽をたいへん好んで食用としています。日本にも食用として室町時代に渡来しました。中国名は「香椿」です。
この植物は何でしょうか?
  • 1ムクロジ
  • 2チャンチン
  • 3アブラチャン
  • 4タラノキ
問題画像1
正解2チャンチン
解説
紅葉は、秋の魅力のひとつですが、春にも新葉が赤くなり秋の紅葉のように美しい葉の植物があります。チャンチンの新葉も淡紅から淡紫色で大変美しいセンダン科の樹木です。落葉樹で高さ20mになり、葉は奇数羽状複葉で長さ50cm位になります。
中国原産の樹木で、現地ではこの新芽を好んで食用としています。日本にも食用として室町時代に渡来しました。景観木として庭園などに植栽されていることがあります。和名のチャンチンは、中国名「香椿」の中国発音「しゃんちん」が転化したものといわれています。

第5問

問題
中央アジアから地中海沿岸に自生する植物すが、16世紀にトルコからヨーロッパに紹介されると、一躍人気となり、その球根が1630年代のオランダですさまじい投機の対象となりました。
この植物は何でしょうか?
  • 1スイセン
  • 2アヤメ
  • 3シクラメン
  • 4チューリップ
正解4チューリップ
解説
チューリップはユリ科の球根植物で、原生種の多くは中央アジア一帯に自生しています。その花は、現在の園芸種とは異なり、小さく可憐です。
チューリップの園芸の歴史はトルコ人とともに始まります。彼らは庭園をつくってその美しさを愛で、聖なる花として珍重しました。16世紀中頃、ヨーロッパ人がこの花に注目するようになると、ウィーン、イタリア、ドイツのアウクスブルクなどへ、複数の経路で同時に伝来していったようです。ともあれ、最初の栽培地はトルコでした。ヨーロッパ各地で多くの人々を魅了していきますが、なかでもオランダでの人気は群を抜いており、17世紀初頭から30年代にかけて、花に斑の模様の入ったチューリップはとりわけ高値を呼びました。実際にはウィルス病の症状だったのですが、当時はその原因がわからず、得がたい品種ということで珍重されました。「センペル・アウグストゥス」という赤の斑模様の球根1つの値段はアムステルダムの広壮な邸宅と同じほどまでに跳ね上がり、1637年2月、チューリップ相場は危機的局面を迎え、多くの人を破綻させます。「チューリップ狂騒事件」とは、この時の人々の狂奔ぶりを揶揄した言葉です。オランダのライデン大学は、1593年、植物学者のクルシウスを植物園長に招聘していますが、彼の積み上げた知見は、後世のチューリップ研究の基礎となっています。オランダでチューリップが高い関心を呼んだのは、彼の存在と無縁ではないかもしれません。

第6問

問題
図の文様は、さまざまな吉祥の印を集合させた「宝尽くし」のなかにみられるものです。家紋にも採用されているこの文様は、次のどの植物をあらわしたものでしょうか?
  • 1大根(ダイコン)
  • 2小松菜(コマツナ)
  • 3丁字(チョウジ)
  • 4沈丁花(ジンチョウゲ)
問題画像1問題画像2
正解3丁字(チョウジ)
解説
チョウジは、フトモモ科の常緑樹で、花は香りが強く、そのつぼみを乾燥ささせて丁字、あるいは丁香とよばれる香料をつくります。これを西洋ではクローブと呼びますが、たいへんに貴重なスパイスで、15世紀には丁字をめぐって戦争が起こったほどです。わが国へは平安時代に伝わったとみられ、飾り、薬や香料のほか、染色にも用いられました。
宝尽くしに数えられたのはその稀少性に加えて、その独特の形状に妙趣が感じられたことも要因であったと思われます。丁字の文様には、公家の装束に丁字唐草の形式があり、これは鎌倉時代に成立しています。宝尽くしの丁字はより単純化され、大根のように表現されています。ちなみに、大根も正月に七草粥として食べると年中無病息災に過ごせるとされ、吉祥の印とされています。

第7問

問題
マツヨイグサの仲間は、いずれもアメリカ大陸からやってきた帰化植物です。多くは黄色の花を咲かせますが、白い花を咲かせるものもあります。
日本に帰化し、白い花を咲かせる植物はどれでしょうか?
  • 1マツヨイグサ
  • 2ツキミソウ
  • 3オオマツヨイグサ
  • 4コマツヨイグサ
正解2ツキミソウ
解説
ツキミソウはアカバナ科の二年草で、江戸時代の終わり近い嘉永年間(1850年代)に日本に渡来したとされます。同じ仲間のマツヨイグサ(チリ原産)とほぼ同時に入ってきたらしく、月見草と待宵草の名は、セットで名付けられたものです。ツキミソウの白い花に対してマツヨイグサは黄色で、ともに夕方から咲き、翌朝にはしぼんで赤みを帯びた色に変わります。また、ツキミソウは性質が弱いため、種子をまいて栽培しないとなくなってしまいます。マツヨイグサは繁殖力が旺盛で、こぼれた種子が道路のグリーンベルトなどにも自然に生えて楽しませてくれます。
太宰治の『富嶽百景』の中の「富士には月見草がよく似合ふ」の月見草は、オオマツヨイグサ、あるいはマツヨイグサとされています。オオマツヨイグサは明治の初めごろに日本に入って、かつては大繁殖していましたが、現在では栽培しないと育たなくなりました。

第8問

問題
この樹木は、果実の形が、お正月によく遊ばれた羽根つきの羽根に似ているので、この名前がつきました。また、半寄生することで有名です。
この植物は何でしょうか?
  • 1ノキシノブ
  • 2ネナシカズラ
  • 3ツクバネ
  • 4ヤドリギ
問題画像1
正解3ツクバネ
解説
ツクバネはビャクダン科ツクバネ属の高さ1〜2mの半寄生落葉低木です。生育地はツガ、モミ、アセビなどが生える痩せた土地で、雌雄異株。葉は長さ3〜7cm、幅1〜4cmの長卵形〜広披針形、先は長くとがり、葉の縁に細毛が並び、裏面主脈上に白毛があります。雄花は淡緑色で径5mmほど、雌花は花被の基部に葉状の長い苞が4個あります。果実は堅果で長さ約1cm、先端に約3cmの長い苞が残り、羽根つきの羽根のように見え、ここからツクバネの名があります。
他の選択肢で、ノキシノブはウラボシ科ノキシノブ属のシダ植物で、通常は樹幹や岩の上などに着生し、屋根の軒にも生えるのでこの名があります。ネナシカズラはヒルガオ科ネナシカズラ属のつる性完全寄生植物で、発芽したときには根がありますが、他の植物に寄生すると基部は枯れ、根無しになります。ヤドリギはビャクダン科(旧ヤドリギ科)ヤドリギ属の半寄生植物で、常緑小低木です。種子を取り巻く果肉が粘液質のため、鳥に運ばれ寄生木に粘着して発芽します。

第9問

問題
「小ぎつねこんこん 山の中 山の中…」で始まる『小ぎつね』の歌で、小ぎつねは「草の実つぶしてお化粧」をし、モミジをかんざしにし、どんな植物を櫛にしたと歌われているでしょうか?
  • 1マツ
  • 2シダ
  • 3イチョウ
  • 4ツゲ
正解4ツゲ
解説
「小ぎつね」は、昭和22年に文部省発行の「三年生の音楽」に掲載された歌で、ドイツ民謡の旋律に、勝承夫が歌詞をつけたものです。小ぎつねのしぐさが愛らしく、メロディも歌いやすいため、今日まで多くの子供たちに愛唱されてきました。
植物の名が登場する1番の歌詞は次のとおりです。
小ぎつねこんこん山の中山の中草の実つぶしておけしょうしたりもみじのかんざしつげのくし ツゲはツゲ科の常緑小高木です。暖地の山地に自生し、庭木にもされてきました。材は黄色で堅く、櫛や将棋の駒などに用いられます。

第10問

問題
コンクリートや石垣などをはい上がり、壁一面に広がって夏の強い日差しが直接壁に当たらないようにしてくれるつる植物で、秋には美しく紅葉します。中国名は「常春籐」といいます。
この植物は何でしょうか?
  • 1クズ
  • 2アサガオ
  • 3フジ
  • 4ナツヅタ
問題画像1
正解4ナツヅタ
解説
つる植物は、他の物にからみつき、はい上がることで体を支えますが、からみつき方は植物によってちがいます。体全体をらせん状に巻きつけるものや、巻ひげをからみつけるもの、あるいは巻ひげなどの先端にある吸盤によって着生するものなどがあります。また気根を出して他の物に侵入させ、からみつくものなどがあります。
ナツヅタはブドウ科の植物で、ブドウの房のような果実をつけますが食べられません。長い葉柄のある葉の反対側に短い巻ひげが出ます。枝分かれした巻きひげの先端に吸盤があり、これによってはい上がり壁や石垣などに一面に広がります。秋には美しく紅葉し、これをツタモミジと呼びます。葉は、葉身と葉柄が別々に落ちます。
平安時代には、早春にこの植物の幹から樹液をとり、甘味料を作ったことからアマズル、アマズラの呼び名もあり『枕草子』にも登場します。
解説画像1

第11問

問題
写真は、キリシマツツジ「日の出霧島」です。このように刈り込んだ樹形で花を咲かせるには、刈り込み剪定の時期が最も大切です。
この時期として、最も適切な時期はいつでしょうか?
  • 1休眠期の2月頃がよい
  • 2花芽がふくらみ始める3月頃がよい
  • 3開花後の芽が伸びだした5月頃がよい
  • 4芽が伸びて固まる梅雨明けの7月頃がよい
問題画像1
正解3開花後の芽が伸びだした5月頃がよい
解説
キリシマツツジは諸説はありますが、南九州に自生するサタツツジを主な母種として作り出されてきた園芸品種群といわれています。
毎年、4〜5月に咲く花は、前の年の5月に伸びた芽に7〜8月ごろ花芽が形成されて、その花芽が成長して冬を越し開花します。花芽を付けさせるためには、7月以前に充実した芽を伸ばすことが必要です。そのことから、刈り込み剪定をしてそのままの樹形で開花させるには、開花直後の芽の伸びだした5月下旬ごろが刈り込みの適期となります。その後の時期に刈り込んだ場合は、せっかくできている花芽を切り取ることになります。

第12問

問題
18世紀の初めにイギリスに渡り、「日本のバラ」と呼ばれ、フランスの劇作家デュマの小説では女性主人公がその花のブーケを手にして毎晩、劇場や舞踏場にあらわれます。
この植物は何でしょうか?
  • 1ツバキ
  • 2ウメ
  • 3サクラ
  • 4アジサイ
正解1ツバキ
解説
ツバキ(ヤブツバキ)はツバキ科の常緑高木で、日本の本州(青森県以南)、四国、九州、沖縄に生育します。葉は楕円形で厚く、光沢があり、縁に細かい鋸歯があります。果実は球形で3室に分かれ、この中に通常、3個の種子が入っています。1年を通じて美しい葉が鑑賞できるので庭園樹として植えられるほか、材は工芸に用いられ、種子から絞ったツバキ油は化粧用、食用、工業用として使われます。
ツバキ属の園芸品種は非常に多く、日本国内では現在1,300品種以上、世界では1万品種以上あるといわれています。海外では属名の「カメリア」で呼ばれています。赤、白、淡紅色の花のほかに絞り咲き、八重咲きもあります。
アレクサンドル・デュマ(1824〜95)は小説『椿姫』を1848年に発表して流行作家となり、その後これを戯曲として上演し好評を博しました。この作品に感銘をうけたイタリアの作曲家ヴェルディは、それをもとにオペラ『椿姫』を作曲し、ヴェルディ中期の傑作の1つとなりました。

第13問

問題
黒澤明監督の映画で、三船敏郎が演じる素浪人の痛快時代劇の1シーンで、江戸のある藩邸から、この植物の花が小川を流れてくるのが襲撃決行の合図になりました。
この植物は何でしょうか?
  • 1モモ
  • 2サクラ
  • 3ツバキ
  • 4キク
正解3ツバキ
解説
この映画は『椿三十郎』です。映画は白黒ですが、赤と白のツバキを使って巧みに演出しています。小川に大量に流したツバキが襲撃の合図となりますが、捕えられた椿三十朗が、敵をだまして襲撃合図のツバキを流すシーンは、この映画を印象付けています。
後日談で、このシーンは、自転車が転倒して荷台に積んでいた真っ赤なリンゴが川いっぱいに流れた光景から、黒澤監督自身がヒントを得たとのことです。

第14問

問題
この植物はツバキ(ヤブツバキ)ですが、この植物の花粉はおもに何によって運ばれるでしょうか?
  • 1
  • 2ハチの仲間
  • 3チョウの仲間
  • 4鳥の仲間
問題画像1
正解4鳥の仲間
解説
植物は動けないので、実を結ぶために、花粉を風や動物に運んでもらいます。動物に花粉を運んでもらう花は、美しさや香りで存在をアピールしていますが、運び手の種類によって花の色や形などに特徴があります。
ツバキは日本原産の常緑樹で、冬から春にかけて咲く花にはメジロやヒヨドリが訪れ、花にくちばしを差し入れて蜜を吸います。このとき鳥の体に花粉がついて運ばれます。ツバキの花は鳥の行動に合わせて横向きに咲き、鳥の体重に耐える丈夫な花びらをもち、筒状の雄しべの奥に豊富な蜜を隠しています。鳥にとって餌となる虫が少ないこの時期、ツバキには頻繁に鳥が訪れます。ツバキのように鳥に適応した花(鳥媒花といいます)は、たいてい赤い色で、香りがなく、蜜の量が豊富です。ツバキに来る鳥は匂いには鈍感でも、鮮やかな赤色には敏感に反応するというわけです。園芸植物のサルビア、クリスマスカクタス、フクシア、アロエなども元来は鳥媒花で、原産地ではこれらの花にハチドリやタイヨウチョウなどが訪れて蜜を吸うのが見られます。

第15問

問題
花は朝開き、昼にしぼみ、大きく目立つおしべは虫を誘うもので、花粉を出しません。この花からとる青い染料は、昔から友禅染の下絵を描くのに使われています。
この植物は何でしょうか?
  • 1アサガオ
  • 2キキョウ
  • 3ツユクサ
  • 4マツヨイグサ
問題画像1
正解3ツユクサ
解説
ツユクサはツユクサ科の一年草で、人家の近くの道ばたや野原、畑の周りなどに普通に見られます。
花びらは6枚、内側の青い大きな2枚が目立ちます(まれに3枚のものがあります)。おしべには3つのタイプがあり、長く突き出たものが2本、やくがX字形で短く鮮黄色のものが3本、やくがY字形で中間の長さのものが1本の、計6本です。これらのおしべのうち、実際に花粉を出すのは長く突き出た2本だけで、あとは仮雄ずいです。ただし、Y字形のものは少し花粉を出します。また、仮雄ずいには、虫を呼ぶ宣伝効果があると考えられています。
花には、おしべとめしべの両方をもつ両性花と、おしべだけからなる雄花があります。雄花は花粉を虫に託すだけの存在で、実を結ぶことはありません。どちらの花も一日花で、早朝に開き、昼にしぼみます。両性花は、しぼみながら長いおしべとめしべを巻き上げ、自らの花粉をめしべの柱頭につけて、自家受粉を行います。花が開いている時間は短いのですが、虫が来なくても自家受粉するので、結実率は高く保たれます。
花びらに含まれる青い色素は水に溶けて流れるので、友禅染の下絵に使われます。この染料を採る目的で作られた栽培品種がオオボウシバナで、花びらが大きいのが特徴です。オオボウシバナは昔から京都周辺で栽培されています。

第16問

問題
友禅染や絞り染などの染色では、下絵を描くときに、ある植物の花びらから採取した染料を用います。この染料で描かれた下絵は、水に濡れると色が落ちて消えてしまいます。
この植物は何でしょうか?
  • 1トクサ
  • 2サクラソウ
  • 3コマクサ
  • 4ツユクサ
正解4ツユクサ
解説
ツユクサは、ツユクサ科の一年草で、畑地や路傍などにふつうに繁茂して夏に青色の花をつけます。
ツユクサによる染色は美しい青色を呈し、上代にはツキクサといわれ、この花で布を摺り染めすることも行われていました。友禅染の下絵に用いられる染料は、「青花」と呼ばれ、ツユクサの栽培品種であるオオボウシバナ(大帽子花)から採取しています。友禅染の下絵に用いられる染料は、「青花」と呼ばれ、ツユクサの栽培品種であるオオボウシバナから採取しています。青花をつくる工程は、花を摘み取り、食酢を加えた水に浸して色素を抽出します。これを上質の和紙に染みこませて乾燥させる工程を数十回繰り返すと青花が完成します。青花を使用するとき、これを少量の水で溶かし出して、毛筆につけて下絵を描きます。ただし、現在では青花の使用は減少傾向にあり、化学的に合成したものを使用することが多くなっています。
解説画像1

第17問

問題
次の植物のうち、おもにマルハナバチの仲間によって花粉が運ばれ受粉する植物はどれでしょうか? 
  • 1ツリフネソウ
  • 2セイタカアワダチソウ
  • 3ヤブツバキ
  • 4ヤツデ
正解1ツリフネソウ
解説
ツリフネソウはツリフネソウ科の一年草で、北海道から九州の、谷筋など湿った半日陰地に生えます。赤紫色の花は花柄の先に帆かけ船を釣り下げたように咲くので、釣舟草の名があります。花の後半部はじょうご状に細くなり、末端は渦巻状になっています。この末端部分に蜜があります。このため、花の正面から頭を突っ込んで蜜を吸えるのは、長い口をもったマルハナバチ類だけで、このときハチの背中が雄しべや雌しべにふれるのです。
花の後半部はじょうご状に細くなり、末端は渦巻状になっています。この末端部分に蜜があり、花の正面から蜜を吸えるのは、長い口をもったマルハナバチ類だけで、このときハチの背中が雄しべや雌しべにふれます。雄しべは互いにくっついて筒状になり、雌しべの上にかぶさっていますが、花粉を出した後、帽子のようにはずれ、雌しべがあらわれます。そこで、ハチが訪れることで、花粉が雌しべについて受粉します。
解説画像1

第18問

問題
日本各地の海岸の砂地に生え、茎はつる状で、4月から10月まで黄色い小さい花を咲かせます。古くから食用として利用されました。
この植物は何でしょうか?
  • 1ハマダイコン
  • 2ハマボウフウ
  • 3ウワバミソウ
  • 4ツルナ
問題画像1
正解4ツルナ
解説
ツルナは、ハマミズナ科(旧ツルナ科)ツルナ属の多年草で、この科の植物としてはツルナ1種が日本に自生しています。日本全国の海岸の砂地に生え、食用として古くから親しまれてきました。つる状の茎で野菜として栽培されることから蔓菜(ツルナ)の名がつけられました。自生地にちなんで浜菜、浜蒿苣(ハマヂシャ)とも呼ばれます。なお、ハマヂシャのチシャとはキク科アキノノゲシ属の1種で、奈良時代から野菜として利用されてきました。江戸時代には多くの栽培品種に分かれ、レタスやサラダ菜もチシャの1種です。
ツルナの食べ方は、若くて柔らかい茎や葉を摘んで天ぷらにしたり、おひたしやあえ物、汁の実として利用します。淡泊ですが独特の風味があり、健胃剤としても有効といわれています。海外でも食用にされ、英語名では「ニュージーランドのホウレンソウ」と呼ばれます。

第19問

問題
思想家ジャン・ジャック・ルソーは、自伝『告白』の中で、植物採集のために山を登っていたとき、この植物を見つけた思い出を懐かしげに語っています。
この植物は何でしょうか?
  • 1キキョウ
  • 2セイヨウマツムシソウ
  • 3フウリンソウ
  • 4ツルニチニチソウ
問題画像1
正解4ツルニチニチソウ
解説
ツルニチニチソウはキョウチクトウ科ツルニチニチソウ属の、南ヨーロッパ、北アフリカ原産の匍匐性の多年草です。株際から四方に、長さ1m〜2mのつるが伸び、卵形の葉がつきます。春になると葉元から高さ30cmほどの花茎が出て、花が一輪ずつ付きます。日本には明治中期に渡来しました。生育が早くて短期間で密生するため、花壇、つり鉢のほかに地被植物として利用します。開花後に株分けでふやします。
ルソーは『エミール』や『社会契約論』を書いたあと、国や教会から敵視されるようになりました。植物採集は、そうした辛い日々の最良の慰めでした。『告白』によると、ツルニチニチソウを見て、ルソーはむかし心から愛したヴァランス夫人とともにこの花を見たことを突然思い出し、青春時代の幸福が一瞬のうちによみがえったということです。ツルニチニチソウはふだん見過ごされがちな植物ですが、ルソーにとっては特別な植物なのです。

第20問

問題
地中海沿岸地帯原産、キョウチクトウ科に属する植物で、緑陰下のグラウンドカバープランツとして、ヘデラ・ヘリックスなどと混植されます。
この植物は何でしょうか?
  • 1コリウス
  • 2ギボウシ
  • 3ツルニチニチソウ
  • 4フッキソウ
問題画像1
正解3ツルニチニチソウ
解説
ツルニチニチソウは、日本では緑陰下のグラウンドカバープランツ(地被植物)として利用されています。耐陰性、耐乾性に富み、5月〜7月に花を咲かせるつる性の常緑多年草です。このつるは壁などに吸着したり、からまったりしません。最近はハンギング・バスケットなどにも使われています。露地で使う場合には1〓当たり16株、石垣の上部などから垂らす場合には1m当たり4株程度を植えます。