第 1 問
この植物は何でしょうか?
① オニバス
② オオオニバス
③ ハス
④ スイレン
オオオニバスは、1837年に南アメリカのイギリス領ギアナで発見され、ビクトリア女王の名をとってビクトリア・レギアという学名が与えられました。1849年にロンドンで初めて花を咲かせて人々を驚かせました。栽培したジョセフ・パクストンの7歳の娘を葉の上に乗せても葉は沈むことなく、さらに45kgの重量を支えることができたといいます。また、ジョセフ・バクストンは、さらに葉の構造を研究して、1851年にロンドンで開催された万国博覧会のメイン会場であるクリスタル・パレスを設計して、建築家としての名も残すことになりました。
オオオニバスの仲間には、アマゾン川水系に自生するオオオニバスと、南のラプラタ川水系に生えるパラグアイオニバスの2種があり、日本の植物園では育てやすい両種の交配種が多く栽培されています。
第 2 問
この植物は何でしょうか?
① フウリンソウ
② ツリガネニンジン
③ キツネノボタン
④ ジギタリス
ジギタリスはオオバコ科(旧ゴマノハグサ科)の二年草または多年草です。ヨーロッパ原産で、日本へは明治時代に渡来しました。草丈は1mを超すものが多く、先が開いた筒状の花をたくさんつけます。
属名のジギタリスはラテン語の「digitus」(指)の意味で、英名のフォックス・グラブや和名のキツネノテブクロもここからきています。
イギリスでは北部の森の中に多く自生しており、妖精がこの花をすみかにするといわれ、フェアリー・グローブ(妖精の手袋)、フェアリー・キャップス(妖精の帽子)、フェアリー・ティンブル(妖精の指ぬき)など、妖精に因んだ名もいくつかあります。
強心・利尿薬としての効果は、1775年にイギリスの医師によって認められ、以来、世界中で使われていますが、有毒植物でもあるので、観賞用に栽培するときは口にしない注意が必要です。
第 3 問
この中の「豆の花」とは、何の植物でしょうか?
① エンドウ
② ラッカセイ
③ クズ
④ ハギ
新緑のころ、春から初夏にかけて咲く豆の花の代表は、エンドウやソラマメです。秋10月ごろに種をまき、5月ごろの収穫となります。とくに、後半の歌詞「七色畑に、妹の つまみ菜 摘む手が 可愛いな」と続く内容からは、たくさんの種類の野菜が栽培されている野菜畑が目に浮かんできます。ほかにも、シロツメクサ、スイートピー、フジ、カラスノエンドウなど、この時期に咲くマメ科の植物(クローバー)が多くありますが、畑の豆の花というイメージではありません。
ラッカセイは、4月、5月に種まきし、夏に開花し、秋に収穫する豆です。アズキは地上にさやをつくりますが、ラッカセイは土中にさやができる変わった生活特性をもっています。クズ、ハギはマメ科の植物ですが、いずれも秋の七草で立秋を過ぎてからの開花がふつうです。
第 4 問
果物には一つの花から1個だけできるものが大半ですが、なかにはたくさんの花が集まって1個の果物状になるものもがあります。
次のうち、どれでしょうか?
① ブドウ
② ミカン
③ バナナ
④ パイナップル
肉質化(多肉化)した果実のうちで、甘みや酸味が強く、食用になるものを一般に果物と呼んでいます。
果実は、めしべの基部にある子房が発達したものですが、ときにはその周辺にある部分(花床?花托ともいいます?や花弁、がく片、おしべの基部など)と一体となって発達したものもあります。1本のめしべ(子房)から1個の果実ができるのが基本ですが、一つの花の中に複数の分離しためしべがあり、めしべの数だけの果実が集まってちょうど1個の果実状になるもの(集合果)やたくさんの花が一つの塊として咲き、それぞれからできる果実が融合し1個の果実状になるもの(複合果)があります。
ここにあげた5つの果実のうちパイナップル以外は1本のめしべから1個の果実ができるものです。パイナップルの花は、ロゼット状の葉の間から立ち上がった花茎のまわりにぎっしりと螺旋状について、やや細長い球形の肉穂花序をつくります。食べる部分は各花の子房、花床、包葉や花軸が多肉化して融合した果実の集まりである複合果です。外側をよく観察すると、一つ一つの果実が密着して丸菱形になっている様子がわかります(写真)。パイナップルのおもしろい性質は、果実が熟すと果実の先端から再び茎葉が伸びることです。
第 5 問
① バラ
② ボタン
③ キク
④ ツバキ
ボタン科は33種がユーラシア大陸と北アメリカに分布し、日本には2種自生し、ボタンとシャクヤクが広く栽培されています。ボタンは中国北西部の原産といわれ、日本へは奈良時代に薬用として渡来したようです。中国で「花王」とまで呼ばれた美しさは、日本においても人気を集め、特に江戸時代には300以上もの品種がつくられました。教訓書の『養生訓』や儒書の『大疑録』で有名な貝原益軒(1630〜1714)は、自然科学分野では『大和本草』を著し、薬用植物のみならず、農産物や加工食品、草花類などについて記しています。また、益軒は、自宅の庭で花や野菜などを作った経験を『花譜』や『菜譜』として刊行しています。
問題文とした花の鑑賞法は、1709年に刊行された『花譜』に記されている一文で、「牡丹をみるに、巳のときをよしとす。巳より後はひらけすぎ、花の精神おとろへちからなし。うるはしからず。午時より後にみるは、牡丹をしらざるなり。」とあります。
第 6 問
① サクラソウ
② タンポポ
③ アザミ
④ バラ
アザミは西洋では民間薬として古くから用いられてきました。ぶどう酒に入れて飲むと「つまらぬ憂鬱を体から追い出し、愉快にする」といわれています。
なぜスコットランドの国花になったかについては諸説ありますが、その一つに次のような逸話があります。13世紀にスコットランドにノルウェーのバイキングが侵入し、アレクサンダー王の城を取り囲んでしまいました。夜襲で城の堀を渡るためにバイキングたちが裸足になったところ、堀は干上がっていてアザミが一面に生えていました。そのため、兵隊は足を刺されて思わず悲鳴をあげ、来襲に気づかれ撃退されたというわけです。
それ以来、「国を救ったアザミ」がこの国の国花をはじめ、標章、貨幣に使われるようになりました。なお、このアザミはアザミ属(Cirsim)とは別属で英名でScottish Thistle(スコットランドのアザミ)と呼ばれ、オオヒレアザミという説が有力です。茎にはひれがあり、総苞も大きく、アザミよりはるかにするどい刺があります。
第 7 問
この植物は何でしょうか?
① ハナミズキ
② シデコブシ
③ ヤマボウシ
④ タイサンボク
ヤマボウシは本州、四国、九州、琉球諸島、朝鮮半島、中国に分布します。
江戸時代に欧米に渡り、観賞樹木として広く植栽されています。総苞片が淡紅〜紅色の品種はベニバナヤマボウシと呼ばれます。果実は9月から10月ごろに紅橙色に成熟し、果肉は粘質で甘く、「ヤマグワ」とも呼ばれ、食べられます。花は初夏に咲き、白い花弁のように見える大きな総苞を頭巾に、中心部の小さな黄色い花が20〜30個集まった頭状花序をもちます。和名は、白い花弁のように見える大きな総苞を頭巾に中心部の小さな黄色い花が20〜30個集まった頭状花序を僧の頭に見立てたといわれています。
第 8 問
① ドラセナ
② アカシア
③ タビビトノキ
④ バオバブ
サン・テグジュペリはフランスの作家です。物語中、王子の星では、バオバブがおそろしい種として描かれています。
生えてきたものを、芽のうちに摘み取らないと、星一面にバオバブがはびこり、その根で星を突き通してしまいます。星が小さいので、バオバブがたくさんあると星が破裂すると表現されています。太い幹と天に向かって広げたような枝ぶりの樹形が特徴的な植物です。キワタ(パンヤ)科バオバブ属の植物の総称で、アフリカ、マダガスカル、オーストラリアに約10種分布しています。自生地では人とのかかわりも深く、果実のパルプ質はおやつになり、種子からは油がとれ、若い葉は野菜代わりにされます。また樹皮は家の屋根や壁材として用いられ、あるいは編んでロープとして利用されます。
第 9 問
この植物は何でしょうか?
① ミズナ
② コマツナ
③ ミツバ
④ ホウレンソウ
コマツナの先祖は、かぶの「くくたち(茎立ち)」であるといわれています。
コマツナが生まれたのは、江戸時代の「小松川村(現在の東京都江戸川区)」です。隣村の葛西村でつくられていた江戸名産の葛西菜を小松川村に住む椀屋久兵衛が改良したと伝えられています。また、五代将軍綱吉の鷹狩りの際に献上し、その地名にちなんで命名されたともいわれています。天保元年(1830)の『新編武蔵風土記稿』には、「東葛西領小松川辺の菘を佳品とす。世に小松菘と称せり」と記されており、このころから、味のよいすぐれた菜類として、江戸の人々に喜ばれていたことがわかります。 コマツナの先祖は、かぶの「くくたち(茎立ち)」であるといわれています。
生育適温は20度前後ですが、暑さ、寒さに比較的強く、夏場に防虫ネット、厳寒期に簡単なビニールトンネルをおこなえば周年栽培が可能です。
第 10 問
次の植物のうち、花粉症の原因とされていないものはどれでしょうか?
① スギ
② カモガヤ
③ ヒノキ
④ シロツメクサ
花粉症はスギなどの花粉が鼻や目の粘膜に付着することで引き起こされるとされます。
風によって花粉を広く遠くに散らす風媒花は、大量に花粉が生産されるのが特徴です。一方、虫媒花は、昆虫などに花粉を運ばせることで、効率よく受粉をおこなうことができ、空中に放出される花粉の量も少なく、花粉症の原因にはあげられません。
シロツメクサは身近な虫媒花の一つです。
第 11 問
この植物は何でしょうか?
① ムラサキカタバミ
② シロツメクサ
③ ムラサキウマゴヤシ
④ スズメノカタビラ
ムラサキカタバミは南アメリカ原産のカタバミ科の多年草です。ハート形をした小葉が三つ集まり、1枚の葉を作っています。
江戸時代末期に観賞用に導入されたといわれますが、繁殖力が強く、現在は庭や空き地、畑などに野生化し関東以西に広がっています。黄色い花をつける在来種のカタバミより花も葉も大きく、よく目につきます。花は春から秋にかけて咲き、直径約1.5〜2cmで、ピンク色をしています。白く見える葯には花粉ができないため種子が形成されませんが、地下に小さな鱗茎が多数作られ、耕すとばらばらになってよく増えます。また、葉を引き抜こうとしても葉柄の付け根で切れ、除去しにくい特色があります。
よく似た種類にイモカタバミがあります。これも南アメリカ原産の外来種で、葉や花はムラサキカタバミとほぼ同大ですが、花の中心のピンクが濃く、葯が黄色く、地下に鱗茎ではなくサトイモを小型にしたようなイモ(塊茎)ができるので、区別できます。
第 12 問
この植物は何でしょうか?
① ハナゾノツクバネウツギ
② ウグイスカグラ
③ ハコネウツギ
④ スイカズラ
スイカズラ科の低木、小高木は美しい花が咲くものが多く、なかでもウグイスカグラは小枝をたくさん出し、淡紅色の花と新しい葉の緑が混ざり遠目にも美しい植物です。
ウグイスカグラは、ウグイスノキとも呼ばれ古くからウグイスと関係づけられていたようです。ウグイスガクレという古名もあり、小枝がたくさんあるので春先にウグイスがかくれるのに都合がよいことに由来する名前との説があります。
ハナゾノツクバネウツギはアベリアといわれる園芸品種で葉が赤みをもち、6〜11月にかけ淡紅色の花をつけます。道路わきや分離帯、河川敷などに好んで植えられています。初夏に紅色の花をつけるハコネウツギもしばしば植えられているのを見かけます。スイカズラは常緑のつる植物で、香りのよい花を咲かせます。花は初めは白で、のちに黄色くなります。
第 13 問
正月のしめ飾りは、ダイダイやミカンを中心に、その両側にウラジロの葉を垂れ下がらせます。鏡餅をウラジロの葉の上に置くこともあります。ウラジロは「裏白」の意味で、葉の裏側が白くて美しい大型のシダです。日本では本州以南に分布します。ウラジロの葉は、左右で対に分かれ、それぞれの羽片がさらに細かく分裂します。 第 14 問
アンブロワーズ・トーマの歌劇『ミニョン』で、「ご存じですか、【 】の花咲く国を、果物が黄金に実り、バラが紅に咲き・・・」と歌われる歌があります。
フランスの作曲家アンブロワーズ・トーマ(1811〜96)の代表作であるオペラ『ミニョン』は、1866年にパリで初演され、大成功をおさめた作品で、原作はゲーテ(1749〜1832)の小説『ウィルヘルム・マイスター』で、原詩では「ごぞんじですか、レモン(シトロン)の花の咲く国を」となっています。 第 15 問
クワはクワ科クワ属の落葉樹の総称で、品種が多く、山地に自生するヤマグワは高さ10〜15mにもなります。葉は互生し、形は多様です。花は4月ごろ穂状に咲きます。かつては養蚕業の主役であるカイコの飼料として各地の畑などで広く栽培されていましたが、養蚕業の衰退とともに、クワ畑もクワの木も年々少なくなってしまいました。クワの実は甘みがあり、熟せば生食できます。 第 16 問
つる性の落葉樹で別名コクワとも呼ばれています。果実は香りがよく、果実酒にも使われます。実が熟す秋になるといろいろな動物が実を食べるため集まります。
サルナシはマタタビ科の植物で、果実は長さ約2.0cmの楕円形で先は丸く、熟すと甘酸っぱくておいしく、よい香りがします。サルが好んで食べるので、この名がついたといわれています。秋には香りにつられてサルだけでなくクマ、テン、リス、ヒメネズミなどが集まり、果実を食べます。サルナシのつるの下やその周辺では、いろいろな動物の足跡や糞を見つけることができます。つるはじょうぶで、いかだをまとめて結わえたり、吊り橋の材料に使ったりします。秋には香りにつられてサルだけでなくクマ、テン、リス、ヒメネズミなどが集まり、果実を食べます。サルナシのつるの下やその周辺では、いろいろな動物の足跡や糞を見つけることができます。 第 17 問
スギナは北海道から九州まで、いたるところの原野、道ばたに生える多年草です。 第 18 問
この植物は、ジャイアントパンダの主食になっています。
ジャイアントパンダは食肉目の動物ですが、主食は植物であるタケです。野生での調査では食物の99%がタケといわれており、25種類のタケを食べることが知られています。タケの消化効率はよくないので、大量に食べ、1日に10kgを超える糞をすることもあります。食べたのちに10時間くらいで糞は排泄され、タケの葉、茎それにサトウキビやニンジンなど食べたものが何であるかがわかる姿で出てきます。 第 19 問
バラとは、バラ科バラ属の植物の総称で、そのうち重要なバラ亜属には自生種が世界に120種以上あるほか、2万以上の園芸品種が栽培されています。
第 20 問
チューリップはユリ科の球根植物で、原生種の多くは中央アジア一帯に自生しています。その花は、現在の園芸種とは異なり、小さく可憐です。
この植物は何でしょうか?
① ワラビ
② ウラジロ
③ ゼンマイ
④ シシガシラ
ウラジロがなぜ正月のしめ飾りに用いられるかは、諸説があります。江戸時代には「ほなが」と呼ばれていたことが、記録されています。これは「穂長」に由来すると考えられ、葉の裏が白く、細かく分かれ、大きくて長い穂に見たてられたのでしょう。それをイネのシンボルとして、正月に飾ったのかもしれません。
【 】に入る植物は何でしょうか?
① オレンジ
② イチゴ
③ ザクロ
④ ブドウ
ゲーテは37歳の時に2年間のイタリア旅行を行っていますが、この小説を書いたのはそれよりもずっと前のことでした。「君よ知るや南の国」には、まだ知らぬ南の国へのあこがれがこめられていて、その象徴としてレモンが登場します。オペラのアリアでは、これがフランス語で「ごぞんじですか、オレンジの花の咲く国を」と変わっています。おそらく、韻をふむためだったと考えられます。
オレンジはインドのアッサム地方を中心とするアジア南東部が原産地といわれ、中国、ヨーロッパ西部、新大陸へと伝わりました。柑橘類の中では世界各地でもっとも広く栽培されています。オレンジの果実は香気にとみ、多汁であまく、貯蔵性や輸送性にも優れています。花の大きさは直径4cm内外、花弁は5つで、5月の上〜中旬に香りのよい、白色の花を咲かせます。
① モモ
② ビワ
③ ウメ
④ クワ
童謡『赤とんぼ』(三木露風作詞・山田耕筰作曲)の歌詞に「山の畑のくわの実を小籠に摘んだはまぼろしか」と、歌われたように明治から昭和の初めごろまでは、赤く熟したクワの実は、夏の風物詩であるとともに、子どもたちのささやかな楽しみでもあったのです。
(JASRAC許諾 第J100317036号)
この植物は何でしょうか?
① ヤマブドウ
② サルナシ
③ ヤマグワ
④ サルトリイバラ
中国原産の同属のシナサルナシはオニマタタビとも呼ばれ、これをニュージーランドで改良したのがキウィフルーツです。
① ゼンマイ
② スギナ
③ クサソテツ
④ ワラビ
食用とされるツクシは胞子をつくる胞子茎で、胞子を散らすとすぐに枯れ、その後に栄養茎のスギナが出ます。ツクシを料理する場合には、胞子を散らす前の若い胞子茎を採り、先端の胞子嚢穂と、葉が集まってできた「はかま」を取り除き、あく抜きしてから利用します。
他の選択肢、ゼンマイ、クサソテツ(コゴミ)、ワラビも若い葉が食用になります。
この植物は何でしょうか?
① サトイモ
② タケ
③ アシ
④ イネ
上野動物園では、安定して入手できるモウソウチクを主食として食べさせています。葉だけでなく春先に手に入る柔らかい茎や竹の子は大好物で、真っ先に食べてしまいます。タケを食べるときは前足でつかんで持って食べます。それ以外にサトウキビ、ニンジン、サツマイモ、リンゴ、ナツメ、それにミルクでご飯を炊いたミルク粥も与えています。
【 】に入る植物は何でしょうか?
① キク
② ダリア
③ バラ
④ アネモネ
12世紀頃になると、アーチの工法がさまざまに工夫され、天を摩するほど高い石の屋根をいただき、それでいて大きな窓を備えたゴシックの教会建築が生まれます。なかでも、細工を施した石を放射状に配置した大きな円い窓は、その美しさに定評があります。形がどこか車輪、あるいはバラの花に似ているので、この種の窓は「車輪窓」あるいは「バラ窓」と呼ばれています。ステンド・グラスで飾られた教会の円窓が「バラ窓」と呼ばれるようになったのは13世紀末頃のことと推測されています。円窓からバラの豪奢な形を連想したことによるようです。また、キリスト教ではバラは聖母マリアの愛やキリストの受難を象徴する花と見なされていたので、光り輝く美しい円窓を見たとき、教徒が信仰にとって意味深いバラと結びつけたのかも知れません。
この植物は何でしょうか?
① スイセン
② アヤメ
③ シクラメン
④ チューリップ
チューリップの園芸の歴史はトルコ人とともに始まります。彼らは庭園をつくってその美しさを愛で、聖なる花として珍重しました。16世紀中頃、ヨーロッパ人がこの花に注目するようになると、ウィーン、イタリア、ドイツのアウクスブルクなどへ、複数の経路で同時に伝来していったようです。ともあれ、最初の栽培地はトルコでした。ヨーロッパ各地で多くの人々を魅了していきますが、なかでもオランダでの人気は群を抜いており、17世紀初頭から30年代にかけて、花に斑の模様の入ったチューリップはとりわけ高値を呼びました。実際にはウィルス病の症状だったのですが、当時はその原因がわからず、得がたい品種ということで珍重されました。「センペル・アウグストゥス」という赤の斑模様の球根1つの値段はアムステルダムの広壮な邸宅と同じほどまでに跳ね上がり、1637年2月、チューリップ相場は危機的局面を迎え、多くの人を破綻させます。「チューリップ狂騒事件」とは、この時の人々の狂奔ぶりを揶揄した言葉です。オランダのライデン大学は、1593年、植物学者のクルシウスを植物園長に招聘していますが、彼の積み上げた知見は、後世のチューリップ研究の基礎となっています。オランダでチューリップが高い関心を呼んだのは、彼の存在と無縁ではないかもしれません。